日本でもアジアンタイヤを多く見かけるようになりました。
ここ数年の間に、技術・品質ともに、目覚ましく向上しているので、魅力的な価格も相まって、選択肢に入れている方もいるかと思います。
色んなメーカーが競ってくれることは、消費者としては、ありがたい事です。
ただ、これって、どこの国のメーカーでどこで作ってるの?など、聞いた事のないメーカー名やブランドに躊躇することもあるのではないでしょうか?
日本・ヨーロッパ・アメリカ系のメーカーであれば、大体分かります。
でも、アジア系はちょっと分からない。多分それが実情だと思います。
そこで、当サイトで、日本で入手できるタイヤを中心に、世界のタイヤメーカーの沿革と特長、製造国などを一覧でまとめてみました。
【世界のタイヤメーカー 一覧 50音順】
グッドイヤー:GOODYEAR
本部:アメリカ合衆国 オハイオ州
設立:1898年
製造国:日本・中国・タイなど(日本・アジア圏向け)
グッドイヤーは、アメリカの代表的なメーカーで、タイヤ界のシェアでは、ビッグ4のうちの1社です。
日本の住友ゴムとの関係が強く、以前は資本提携が結ばれていました。
日本・アジア圏などでは、住友ゴムが展開しているダンロップブランドも、欧米ではグッドイヤーが展開しています。
2015年に資本提携は、解消されましたが、現在でもアジア市場向け製品に関しては、住友ゴムが製造を行っています。
性能面では、長距離を移動するアメリカ生まれのタイヤだけあり、耐摩耗性が高く、減りが少ない傾向にあります。反面、サイドウォールは柔らかめで、比較的乗り心地も良いのが特徴となっています。
日本では、日本グッドイヤー株式会社が、乗用車・SUV・商用車用まで幅広いラインナップで販売を行っており、多数の自動車メーカーの純正タイヤとしても採用されています。
比較的低価格で販売していることから、コストパフォーマンスが優れたタイヤであると言えます。
グッドイヤーの主なシリーズ
- EAGLE F1(イーグル エフワン)
- EAGLE REVSPEC(イーグル レブスペック)
- EfficientGrip (エフィシェントグリップ)
- EAGLE LS EXE(イーグル エルエス エグゼ)
- WRANGLER(ラングラー) など
グッドライド(中策ゴム):GOODRIDE
本部:中国 浙江省杭州市
設立:1958年
製造国:中国・タイなど
グッドライドは、中国最大手のタイヤメーカーである中策ゴム(Zhongce Rubber Group)のブランドのひとつです。
日本では、なじみが薄いですが、世界でのシェアは、10位以内とかなりメジャーなブランドです。
2017年からは、グッドライドジャパンが設立され、日本での販売に本腰を入れ始めました。最近では、入手性・知名度ともに上がりつつあるようです。
モータースポーツ活動にも積極的に取り組んでいて、特にドリフト競技には力を入れています。2020年には、フォーミュラードリフトジャパンの認証タイヤにも採用されています。
ハイグリップでありながら、耐摩耗性が高いことにも定評があり、これもドリフト競技に好まれる理由となっているのだと思います。
アジアンブランドのタイヤであることから、価格が安いもの大きなメリットとなっています。
グッドライドの主なシリーズ
- SPORT RS
- SA37
- SA07 など
コンチネンタル:Continental
本部:ドイツ ハノーバー
設立:1871年
製造国:ドイツ・タイ・中国・マレーシアなど
コンチネンタルは、タイヤ界のシェアでは、ビッグ4のうちの1社です。
ドイツのハノーバーで創業してから、150年以上の歴史を持ち、欧州では、メルセデス・BMW・アウディ・ジャガー・ボルボなど、名だたるメーカーに純正採用されている信頼のブランドです。
日本では、いまひとつメジャーになり切れていませんが、世界的な知名度は抜群で、特に、欧州車の約3台に1台は、コンチネンタルのタイヤを履いていると言われるほど、ヨーロッパでのシェア率は高くなっています。
性能面では、ドイツ生まれのブランドだけあって、制限速度無しのアウトバーンに適した技術が培われ、高速性能・グリップ性能に定評があります。
2003年には、世界で初めて、最高速度360㎞/hに対応した一般公道用タイヤを開発したことや、ホンダ「シビック タイプR」に純正装着された、SportContact 6でドイツ ニュルブルクリンク北コースのFF量産車最速ラップタイムを打ち立てたことも有名な話となっています。
また、同じドイツのシーメンス社の自動車電子部品部門を買収し、先進運転技術などをも開発するようになりました。そのため、タイヤにも、ABSやESCなどの電子制御に適した性能を与えていることも特徴となっています。
コンチネンタルの主なシリーズ
- EcoContact(エココンタクト)
- SportContact(スポーツコンタクト)
- MaxContact MC(マックスコンタクト)
- ExtremeContact DWS(エクストリームコンタクト) など
GTラジアル(GiTiグループ):GT RADIAL
本部:シンガポール
設立:1951年
製造国:中国・インドネシア・アメリアなど
GTラジアルは、130ヵ国以上でタイヤを販売している、シンガポールのGiTiグループのトップクオリティブランドです。
創業の歴史は古く1951年。インドネシアで自転車のタイヤ・インナーチューブの製造から始まりました。その後、自動車タイヤの製造に移行。その際に、フランスのミシュラン社からの資本参加を受け、ミシュランタイヤのライセンス生産を始めました。
ライセンス生産で、ミシュランの技術を吸収したGiTiは、後に、オリジナルのテクノロジーを融合させ、高性能のプレミアムブランドであるGTラジアルを構築します。
現在では、中国を除く全世界にタイヤを供給しているグローバルタイヤメイカーとなりました。
今では、主要国の品質と安全性に関する国際認定を取得。各国に販売しています。
製造は、中国、インドネシア、米国サウスカロライナ州にある8か所の工場で行われており、日本車では、トヨタ・日産・スズキ・ホンダに純正採用されることで、品質的な実証もできています。
GTラジアルの主なシリーズ
- CHAMPIRO SX2(チャンピーロSX2)
- CHAMPIRO HPY(チャンピーロHPY)
- CHAMPIRO GTX PRO(チャンピーロGTX PRO)
- CHAMPIRO ECO(チャンピーロエコ) など
ダンロップ(住友ゴム):DUNLOP
本部:日本 東京都
設立:1917年 ダンロップ護謨(極東)株式会社
製造国:日本・インドネシア・中国・タイ・ブラジル・トルコなど
ダンロップは、世界初の空気入りタイヤを開発した、130年以上の長い歴史を持つメーカーです。
元々は、イギリスで創業しましたが、1980年代に経営が悪化。タイヤ部門は、日本の住友ゴム工業に売却され、住友ゴムのブランドとなりました。住友ゴム自体、ダンロップタイヤを日本で製造する、ダンロップ護謨(極東)株式会社として始まったため、親会社を引き取ったような状態となります。
その後の1999年には、住友ゴムと、アメリカのグッドイヤーがアライアンスを結んだことから、ダンロップタイヤの製造および販売に関しても、日本・アジア圏では住友ゴムが、欧米ではグッドイヤーが担う事になりました。
2015年には、住友ゴムとグッドイヤーのアライアンスは解消されましたが、ダンロップブランドの使用権は、解消前とほぼ同じく継続され、日本・アジア圏の販売は住友ゴムが、欧米はグッドイヤーという形で分割された状況となりました。
翌年2016年には、住友ゴムが、タイヤ事業で、欧米やインド、豪州等を除き全世界のDUNLOP商標の所有権を取得。現在でも、日本においてのダンロップブランドは、住友ゴムが展開しています。
性能としては、ロングライフ性と、低燃費性に定評があります。海外ブランドと比較して、柔らかめの印象で、価格は、他の日本メーカーよりも安い傾向にあるようです。
歴史のあるブランドで、日本企業が製造していて、信頼性もあり、価格も手頃と、コストパフォーマンスに優れたタイヤだと言えます。
ダンロップの主なシリーズ
- VEURO VE (ビューロ)
- LE MANS V (ル・マン)
- エナセーブ
- GRANDTREK (グラントレック) など
トーヨータイヤ:TOYO TIRES
本部:日本 兵庫県
設立:1945年
製造国:日本(仙台・桑名・兵庫)
トーヨータイヤは、TOYO TIRE株式会社が展開する主要ブランドです。
車好きには、東洋ゴム工業の方が馴染みがあるかもしれませんが、2019年にTOYO TIRE株式会社に社名変更。社名にタイヤというワードを入れる事で、経営資源を自動車関連にシフトする意思表示になっているようです。
ちなみに、会社名は、TOYO TIRE株式会社ですが、ブランド名は、TOYO TIRESと複数形での表記となります。
トーヨータイヤのコンセプトは、専用タイヤ発想で、例えば、ミニバン専用・ラグジュアリーミニバン専用・軽自動車専用など、細かな車両の形状や特性に合わせたラインナップがされているのが特徴です。
販売形態は、純正採用とガソリンスタンドでの販売が主力になっているようです。そのため、カー用品店などアフターマーケットでの知名度は低い傾向にあります。価格も安く抑えられている印象です。
海外での活動は、日本企業としては、他社に先駆け、1966年には、Toyo Tire (U.S.A.)Corp.を設立するなど、かなり以前から活発に行われています。海外では、評価も認知度も高いようです。
性能は標準レベルですが、ほとんどが日本で製造されていること、静粛性にも評価が高いこと、価格がリーズナブルなことも踏まえると、普通に使用するには、良い選択になるかと思います。
ただ、スタッドレスの評判は、あまり良い評価を聞かないので注意が必要かもしれません。
トーヨータイヤの主なシリーズ
- PROXES (プロクセス)
- TRANPATH (トランパス)
- OPEN COUNTRY (オープンカントリー) など
ニットータイヤ(TOYO TIRE):NITTO
本部:日本 兵庫県
設立:1949年
製造国:日本(仙台・桑名・兵庫)
ニットータイヤは、TOYO TIRE株式会社の対米向けブランドです。
元々は、日東タイヤという、日東化工系の会社でしたが、新設の菱東タイヤ株式会社へ譲渡され、菱東タイヤを横浜ゴムが吸収合併するかたちで、横浜ゴムの1ブランドとなりました。
以前は、海外向けブランドであったため、入手するには逆輸入するしかありませんでしたが、2007年に株式会社トーヨータイヤジャパンNITTO販売部が設立され、日本での販売も本格化されました。
海外(特にアメリカ)では、特徴的なトレッドパターンと高いデザイン性で、エンスージアストの間で、高い評価を得ているようです。
特に、ラグジュアリースポーツカーや、SUVなど向けの大口径タイヤが充実しています。
ニットーの主なシリーズ
- INVO(インヴォ)
- NEO GEN(ネオジェン)
- NT555
- TERRA GRAPPLER(テラグラップラー) など
ハンコック:HANKOOK
本部:韓国 ソウル
設立:1941年
製造国:韓国・中国・アメリカ・ハンガリー・インドネシア
ハンコックは、世界185ヵ国で販売を行う、韓国のグローバルタイヤメーカーです。
正式名称は、ハンコックタイヤアンドテクノロジー株式会社。
日本とのつながりが深く、日本タイヤ系列として創業し、横浜ゴムと技術提携されていた歴史もあります。
日本でのイメージは、アジアンタイヤの代表格のようにとらえがちですが、中央研究所・ヨーロッパテクニカルセンター・アメリカテクニカルセンター・中国テクニカルセンターの4ヶ所のR&Dセンターを抱える、研究開発を積極的に行うメーカーとなっています。
性能と品質は、海外において高評価であり、アジアンタイヤの魅力である、リーズナブルさと合わせて競争力も向上しています。
メルセデスやフォルクスワーゲン・フォードなど名だたるメーカーにも純正供給していて、日本車でも、一部の車種ですが、日産や三菱に採用されています。
また、OEM供給にも積極的で、イエローハットのプライベートブランド『ZETRO』もハンコックが製造していました。
日本では、ハンコックジャパンが販売を行っていて、大阪府大阪市に本社が、愛知県名古屋市にテクニカル・リエゾンオフィスがあります。
ブランドや飛びぬけた性能にこだわらないのであれば、コストパフォーマンスに優れたタイヤであると言えます。
ハンコックの主なシリーズ
- Kinergy(キナジー)
- Ventus(ヴェンタス)
- Dynapro(ダイナプロ) など
BFグッドリッチ(ミシュラン):BF Goodrich
本部:フランス クレルモンフェラン(ミシュラン)
設立:1870年(グッドリッチ)
製造国:アメリカ・メキシコなど
BFグッドリッチは、アメリカで初めて、自動車用空気入りタイヤを開発したタイヤブランドです。
かつては、世界でも有数のゴム・タイヤメーカーでしたが、残念ながら会社としては解体され、タイヤ部門は、フランス ミシュランの1ブランドになっています。
現在、オフロード・SUV用をメインに、マッスルカー用のタイヤも販売していて、昨今のSUVブームもあり、BF Goodrichのロゴをホワイトレターされたタイヤを履く車を見かける事も多くなりました。
日本では、小型・普通乗用車用タイヤが中心のミシュラン、大型SUV用タイヤがBFグッドリッチと棲み分けがされています。
オフロードタイヤに注力しているだけあり、総合タイヤメーカーよりも、評判が高い傾向にあります。また、オフロードタイヤ特有の、ゴーッというロードノイズも抑えられ、比較的静かな分類に入るかと思います。
パリ・ダカールラリーの実績からも分かるように、オフロードには技術的な裏付けのあるブランドとなっています。
BFグッドリッチの主なシリーズ
- TRAIL-TERRAIN(トレールテレーン)
- ALL TERRAIN(オールテレーン)
- MUD-TERRAIN(マッドテレーン)
- RADIAL T/A (ラジアルT/A) など
ピレリ:PIRELLI
本部:イタリア ミラノ
設立:1872年
製造国:イタリア・イギリス・ブラジル・インドネシア・中国など
ピレリは、フェラーリやランボルギーニなどのスーパースポーツにも純正供給する、イタリアのタイヤメーカーです。本部はイタリアのミラノにありますが、中国資本に買収され、国有総合化学メーカーである、中国化工集団が親会社となっています。
中国資本下にあるものの、現時点では、経営・開発への口出しは少なく、既存のピレリ経営陣が担っているようです。
自転車タイヤの製造から始まった、ピレリの歴史をさかのぼると、1901年に自動車用タイヤを作り始め、1907年には、早くも北京~パリ自動車レースに参加。優勝もしています。古くからレースに関わってきたことが分かります。
その後も、F1やWRCなどの自動車レースをはじめ、スーパーバイクにも、サプライヤーとして供給しています。
市販タイヤの評判としては、かつては、ピレリノイズと言われるほど、コンパウンドが硬く、ロードノイズが大きめでしたが、最近は、改善され静かになり、燃費性能も向上しています。
アジア市場に目を向け、コンフォートタイヤの開発を行った結果だと思います。今後も、中国工場を活用して、アジア市場向けに市場を広げていくものと思われます。
ピレリの主なシリーズ
- P ZERO(P-ゼロ)
- CINTURATO(チントゥラート)
- POWERGY(パワジー)
- SCORPION (スコーピオン) など
ファルケン(住友ゴム):FALKEN
本部:日本 東京都
設立:1944年(オーツタイヤ)
製造国:日本・インドネシア・中国・タイ・ブラジル・トルコなど
ドイツ語で鷹を意味する、ファルケンは、2003年に住友ゴム工業に吸収合併され消滅した、オーツタイヤ株式会社のブランドです。
買収後は、住友ゴム工業の、主に海外向けのグローバルブランドとして使用されています。
住友ゴム工業内には、ダンロップブランドもありますが、欧米圏では、ダンロップブランドをグッドイヤーが展開していて販売ができないため、ファルケンブランドを使用しています。
基本的な構成および技術としては、ダンロップと同じであるため、兄弟ブランドとも言えます。
現在、住友ゴム工業内での、ファルケンブランドの売り上げ比率は、2~3割程度にとどまっています。
ただ、評価基準の厳しい欧米での評価も高く、賞も多数受賞しているので、今後も、ダンロップブランドが展開できない欧米・インド・豪州を中心に販売が拡大されるものと思います。
モータースポーツへも積極的にスポンサードしていて、FALKENカラーと呼ばれる、エメラルドグリーンのチームカラーが有名です。
ファルケンの主なシリーズ
- AZENIS(アゼニス)
- ZIEX(ジークス)
- SINCERA(シンセラ)
- WILDPEAK (ワイルドピーク) など
ブリヂストン:BRIDGESTONE
本部:日本 東京都
設立:1931年
製造国:日本・アメリカ・メキシコ・ブラジル・スペイン・イタリア・トルコ・中国・タイなど
ブリヂストンは、常にミシュランと世界シェア1位を争っている、タイヤ界のビッグ4のうちの1社です。
今でこそ、世界屈指のゴム・タイヤメーカーですが、創業当時は、足袋製造を行っていて、株式会社設立時は、日本足袋株式会社という社名でした。
その後、足袋製造とゴム靴で成功を収めた同社は、段々と高まるモータリゼーションを受け、日本足袋株式会社タイヤ部を設置し、純国産タイヤの第一号の販売を開始しました。
これがのちに、日本足袋株式会社から独立し、ブリッヂストンタイヤ株式会社誕生の切っ掛けとなります。
社名の由来は、創業者である、石橋正二郎の苗字をひっくり返し、英語に直訳(橋=ブリッジ・石=ストーン)したことは有名な話です。一説には、当時隆盛を誇っていたファイアストンにあやかったという話もありますが定かではありません。
独立前の会社である、日本足袋株式会社も、現在では、アサヒシューズ株式会社となって存続しています。
現在のブリヂストンは、規模の大きさを生かし、研究開発も活発に行われています。国内のシェア率では50%にも迫る勢いです。また、製品出荷までに多くの検品が行われるのも特徴で、品質には絶対の信頼を誇っています。
性能に関しては、グリップ性能・エコ性能・耐久性・真円度ともハイスペックな高性能タイヤであると言えますが、価格は他メーカーよりも高い傾向にあります。
近年では、海外生産の比率を高めており、2021年度には、73%が海外生産となっています。
ブリヂストンの主なシリーズ
- POTENZA(ポテンザ)
- REGNO(レグノ)
- ECOPIA(エコピア)
- Playz (プレイズ) など
マキシス(正新ゴム工業):MAXXIS
本部:台湾 彰化県
設立:1967年
製造国:台湾・中国・タイなど
マキシスは、台湾のタイヤメーカーである正新(チェンシン)ゴム工業のプレミアムブランドです。(1ブランドとしての位置づけですが、完全子会社の別法人となっているようです。)
正新ゴム工業の歴史は、自転車やバイクの2輪車向けタイヤ製造メーカーとしてはじまりましたが、すぐに、自動車・小型トラック・ATV・オートバイ・トレーラーなどのタイヤ製造へ進出していきました。
1985年には、アメリカのアトランタに現地法人を立ち上げるなど、海外進出も積極的で、現在では、180ヵ国以上で販売を行い、従業員数3万人以上を抱えるグローバルな企業となりました。
日本では、1987年に、JIS規格の承認を取得。1993年には、東洋ゴムと合弁で工場を設立。さらに日本の自動車メーカーへの純正タイヤの供給など、市場参入を行ってきました。
2005年には、日本にも現地法人である、MAXXIS INTERNATIONAL JAPANを設立。マキシス関東販売・マキシス北海道販売・マキシス九州販売などを整備して、認知度向上に努めています。最近では、オートバックスでも店頭販売されるまでになっています。
アジアンタイヤのため低価格でありながら、海外有名メーカーに採用され、台湾・中国・アメリカ・オランダに研究開発センターがあるなど、アジアンタイヤの中では、安心して使用できるタイヤだと思います。
マキシスの主なシリーズ
- VR-1 Victra
- VS-5 Victra
- HP5 Premita
- MA-1
ミシュラン:MICHELIN
本部:フランス クレルモンフェラン
設立:1889年
製造国:フランス・ドイツ・スペイン・タイなど
ミシュランは、ラジアルタイヤを世界で初めて開発したフランスのタイヤメーカー。ブリヂストンと世界シェア1位を競う、タイヤ界のビッグ4のうちの1社です。
規模の大きさから、様々なブランドを保有または、傘下に収め、販売地域に合わせたブランドを使い分け、展開を進めています。
タイヤ以外にも、レストランなどのガイドブックである、ミシュランガイドや、キャラクターのビバンダムでも知られています。
日本での歴史は、1964年から始まりますが、当初は、東京モノレール用のタイヤ供給だけしかありませんでした。翌年の1965年に、三井物産が代理店となり、ここから自動車タイヤの販売が始まります。
さらに、1975年には、日本ミシュランが発足し、どんどんと認知度を高めていきます。2010年までは、日本でも、群馬に製造拠点がありましたが、現在では、研究施設のみとなっています。
日本では、ミシュランと、ミシュランの別ブランドのBFグッドリッチが展開していますが、小型・普通乗用車用をメインにミシュラン・大型SUV用タイヤが、BFグッドリッチという棲み分けがされています。
価格帯としては、高級タイヤの分類に入りますが、耐摩耗性に優れているため、他のタイヤと比較して長持ちする傾向にあります。また、乗り心地、グリップ性能ともに、価格差以上に優れた性能を持っています。
ミシュランの主なシリーズ
- PILOT(パイロット)
- PRIMACY(プライマシー)
- ENERGY(エナジー)
- LATITUDE(ラティチュード)
横浜タイヤ(横浜ゴム):YOKOHAMA
本部:日本 東京都
設立:1917年 橫濱護謨製造株式會社
横浜ゴムは、旧財閥の古河グループに属する、日本のタイヤメーカーです。
創業時は、アメリカのBFグッドリッチと合弁で橫濱護謨製造株式會社として設立され、グッドリッチブランドのタイヤを製造・販売していましたが、1937年にヨコハマブランドに変更。零式戦闘機用タイヤの製造も行っていました。
1973年には、韓国タイヤ製造(ハンコック)に技術供与・提携。その後も、インドネシアのP.T.ガジャ・ツンガル社、台湾の協機工業、インドのシアット・タイヤ・オブ・インディア社、台湾の南港輪胎(ナンカン)などに技術供与を行うなど、アジアンタイヤの発展に貢献してきたメーカーでもあります。
また、ドイツのコンチネンタルと合弁でヨコハマコンチネンタルタイヤ株式会社(略称YCC)を設立し、日本・韓国の自動車メーカーに対する共同グローバル窓口としていたこともあります。その後、合弁は解消されましたが、現在でもヤナセ自動車とともに、コンチネンタルの販売代理店として継続しています。
ヨコハマのシリーズとしては、ADVANが有名です。ヨコハマタイヤのグローバルフラッグシップとして、レーシングタイヤのイメージが強いですが、現在では、スポーツ性の高いものから、コンフォート用のタイヤまで高性能タイヤシリーズとして、幅広く展開しています。
また、国内メーカーとしては、低燃費タイヤであるDNAシリーズを他社に先駆けて投入。ECOS・BluEarthシリーズなども手掛け、環境配慮型のタイヤメーカーとしての認知度も高くなっています。
ヨコハマの主なシリーズ
- ADVAN(アドバン)
- BluEarth(ブルーアース)
- ECOS(エコス)
- GEOLANDAR(ジオランダー)
- PARADA(パラダ)
まとめ
最後に、2020年時点の世界のタイヤシェアを見てみたいと思います。
調べ方によっては、ブリヂストンが1位になっているものもありますが、ブリジストン自体も、下の順位をもとにシェア2位と発表しているので信憑性は高いものと思います。
2020年世界のタイヤ市場シェア
売上高 シェア順位 | メーカー | 国 | 売上高 (100万USドル) |
---|---|---|---|
1 | ミシュラン | フランス | 22,935.00 |
2 | ブリヂストン | 日本 | 20,750.00 |
3 | グッドイヤー | アメリカ | 11,440.00 |
4 | コンチネンタル | ドイツ | 9,908.00 |
5 | 住友ゴム | 日本 | 6,369.10 |
6 | ハンコック | 韓国 | 5,305.00 |
7 | ピレリ | イタリア | 4,888.00 |
8 | 横浜ゴム | 日本 | 4,349.00 |
9 | 中策ゴム | 中国 | 3,896.20 |
10 | マキシス/チェンシン | 台湾 | 3,788.70 |
11 | 東洋ゴム | 日本 | 2,870.00 |
12 | リンロンタイヤ | 中国 | 2,753.80 |
13 | クーパータイヤ | アメリカ | 2,521.00 |
14 | GitIタイヤ | シンガポール | 2,497.00 |
15 | アポロタイヤ | インド | 2,296.70 |
気になるのは、2019年と比較して、
- ハンコックが 7位→6位に
- 中策ゴムが 10位→9位に
- リンロンタイヤが 14位→12位に
に浮上しているところです。
ピレリも中華資本となり、勢いがあるはずですが、それ以上に、他のアジアンタイヤの勢いが上回っているのが分かります。
今後も、コスト安と、技術の革新的な向上により、アジアンタイヤのシェアは伸びていくと思います。
日本では、安かろう悪かろうのイメージが払しょくしきれていないアジアンタイヤですが、性能面でも選択肢に入る日が近いうちに来るのではないかと思います。
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