輸入車のホイールが汚れやすいのはなぜ?国産車とは何が違うのか。

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輸入車のホイールが汚れやすい理由_アイキャッチ

輸入車のホイールは、国産車と比較して明らかに、汚れるスピードが早く、私の車の場合、洗車をして2日も乗れば、黒茶っぽいススのようなものに覆われ始めます。洗うのも面倒くさいし、汚れたままだと車自体が汚く見えるので厄介です。輸入車に乗っている方なら共通の悩みではないでしょうか?

そこでこの記事では、

  • 輸入車のホイールが汚れやすい原因
  • 汚れを簡単に落とす方法・汚れにくくする方法
  • 根本的に汚れの発生を抑える方法

を説明していきたいと思います。

根本的に汚れの発生を抑えるのは、少しだけハードルが高いですが、汚れにくくする方法なら、すぐに実践できます。少しでも長くキレイな状態を保ちたいものです。

車のホイールが汚れる原因

ホイールが汚れる最大の原因は、ブレーキパッドとブレーキローターの削りカスであるブレーキダストの付着です。これに、砂・ホコリ・油などが混ざって、汚れを加速させます。

ホイールの汚れを、触ってみると、ススのような黒茶色っぽい粉がつきます。あれがブレーキダストです。

ホイールに付着したブレーキダスト
ブレーキダストを触って指についた画像

車のブレーキは、タイヤとともに回転しているローターをパッドで挟み込むことで、摩擦を発生させ制動力を得ています。

摩擦を発生させるということは、パッドがローターを削っているのと同じです。削れば、当然、削りカスがでます。この削りカスがブレーキダストの正体です。

自動車のディスクブレーキの構造

ブレーキダストの主成分は酸化鉄です。酸化鉄が長いこと、アルミホイールに付着していると、固着してシミのようになっていまうこともあります。

構造は国産車と同じ。なのに輸入車のホイールが汚れやすいのはなぜ?

輸入車でも国産車でもブレーキの構造は、基本的には同じです。では、なぜ輸入車のホイールは汚れやすいのでしょうか?

原因は、輸入車のブレーキパッドの材質にあります。

海外は、日本の道路よりも制限速度が高い国がたくさんあります。高速道路で言えば、ドイツのアウトバーンや、イタリアのアウトストラーダが有名なところです。一般道であっても、制限速度100㎞/hなんていう国もあります。

そんな環境で走行するので、高速域から一気にフルブレーキングという場面も想定されます。踏み始めからガツンと効く、強い制動能力が求めらるのです。

輸入車のブレーキは、ブレーキバッド・ブレーキローターともに削れやすい材質を採用することで強い摩擦力を得ています。効率良く運動エネルギーを熱に変換し、強い制動力を得ているわけです。

削れやすければ、削りカスであるブレーキダストの量も増えます。また、摩擦が大きいため、高熱も発生し、ブレーキダストも高温のまま、ホイールに付着して強固にこびりついてしまうことになります。

これが、輸入車のホイールが汚れやすい原因なのです。

輸入車と国産車のブレーキパッドの成分の違い

ブレーキパッドの材質は、「結合材」・「補強材」・「摩擦調整材」で構成されています。

このブレンド具合で、ブレーキパッドの性質が変わってきます。

主に使用されている材質は、

  • 結合材・・・フェノール樹脂
  • 補強材・・・アラミド繊維やスチール繊維やセラミック繊維など
  • 摩擦調整材・・・黒鉛やカシューダスト

国産車の場合、ノンスチールタイプ(NAO‐Non Asbestos Organic‐)というスチール繊維を含まず、アラミド繊維やセラミック繊維で代替えしたものが主流となっています。

対して輸入車は、スチール繊維を10~30%程度含有した、ロースチールタイプを使用しています。

加えて、調整材に黒鉛(カーボン)を多く含んだものが多く、これもホイールを黒く汚す原因となっています。

フロントホイールの方が汚れるのはなぜ?

国産車・輸入車を問わず、フロントホイールの方が汚れがひどい車が多いです。これは、ブレーキング時に、リアよりもフロントの方が負担が大きくなる事に起因します。

走行時に、ブレーキをかけると、慣性の法則でフロントに荷重が移ります。ブレーキング時に前に引っ張られるような感覚があると思いますが、車体にも同じような力がかかっているのです。

フロントが沈み込むような強めのブレーキングをすればなおさらです。

荷重がかかるということは、フロントブレーキにも負荷がかかっている状況となります。リアは逆に浮き上がり、負担は小さくなります。

そのため、大体の車で、負荷の大きいフロントブレーキ側を強化して対策しています。

たとえば、

  • リアと比較して、フロントのディスクローターが大きい。
  • コンパクトカーの場合、フロントはディスクブレーキでリアは、ドラムブレーキ。
  • フロントはベンチレーテッドディスクで、リアはソリッドディスク。
  • キャリパーが、フロントは6ポット、リヤは2ポット。

などが、典型的な組み合わせパターンです。

負担が大きく、強化されたフロントブレーキからは、リアブレーキよりも、ブレーキダストが多くでて、汚れがひどくなるのです。

ホイールを簡単にキレイにする方法

細かな隙間や穴のあるホイールを洗うのは、なかなか面倒くさい作業です。加えて、ブレーキダストが固着しまっていたら、最悪です。

普通のカーシャンプーでは、汚れを落とすだけでも繰り返しの洗浄が必要となるでしょう。そんな時に、洗浄力が高く、汚れをキレイに落としてくれる、ホイール専用クリーナーが有効です。

ホイールクリーナーには、ジェルやクリームタイプ、シートタイプなど様々ありますが、簡単に汚れを落とすには、広い面に吹き付けられるスプレータイプが便利です。

注意しなければならないのは、洗浄力が高い分、ホイールの材質や、塗装、表面処理によっては、表面を侵してしまうものがあるということです。使用前に自分のホイールに適しているかを良く確認し、目立たない場所で試してみてから全体に使用するようにしましょう。塗装剥がれやシミになってから後悔しても遅すぎます。

スプレータイプのホイールクリーナーは、下記のような3タイプに大別されます。

ブレーキダストの酸化鉄と反応して落とすタイプ

ブレーキダストは、ブレーキパッドとローターが削れて発生した酸化鉄です。この酸化鉄を薬品で化学反応させて落とすのが、このタイプです。

ホイールにスプレーするだけで、酸化鉄とチオグリコール酸アンモニウムが反応して紫色に変色。こびりついた汚れを溶かして簡単にキレイにすることができます。製品としてはパープルマジックが定番です。

パープルマジック ブレーキダストクリーナ 表面
パープルマジック ブレーキダストクリーナ 裏面

中性タイプで、手にもホイールにも攻撃性は低いですが、化学反応を利用しているので、使用できないホイールや個所があるので注意が必要です。使用可能なホイールでも古いものは、表面が劣化しているので、使用は避けた方が良いと思います。

使用できないホイール

  • スパッタリング・表面処理が弱いメッキ・下地がアルミ以外のメッキホイール
  • アルミ以外のホイール(鉄・マグネシウム等)
  • AMG・ SCHNITZER・ LORINSER社製のホイール
  • 有色ピアスボルトや特殊処理(再塗装やマット処理など)をしているホイール
  • 劣化しているホイール
  • 車両及びホイールの取扱説明書で使用が禁止されているホイール ※輸入車の場合は特に注意

洗浄力強化タイプ

強めのアルカリ性の洗浄剤で汚れを落とすのが、このタイプです。カーシャンプーと比較して圧倒的に洗浄力は強いですが、「スプレー後に数分おいて、水で洗い流すだけ」という宣伝文句の通りには、なかなかキレイにはならない印象です。

補助的に、こすり洗いすれば、かなりキレイになります。このタイプの製品としては、リンレイのウルトラハードクリーナーが売れています。

ウルトラハードクリーナー 表面
ウルトラハードクリーナー 裏面

注意したいのは、強めのアルカリ性のため、必ず保護手袋等を着用し、目立たない部分で試してから使用すること。また、使用できないホイールの種類も多いので、使用できるかの判断が難しいです。

使用時には、乾かないうちに水で良く流さないとシミになりやすいため、夏の暑い日に、放置してしまったりすると、大変なことになります。1本ずつ洗浄して、こまめに水で流す必要があります。

また、ウルトラハードクリーナーは、タイヤクリーナーとしても使用できるようですが、タイヤの洗浄は避けたほうが良いでしょう。タイヤの過度な油分除去は寿命を縮めます。

タイヤを洗いすぎてはいけない理由は関連記事を読んでください。

使用できないホイール

  • 表面が劣化したホイール・タイヤ
  • 再塗装されたホイール
  • マグネシウム・メッキ・アルマイト・ポリッシュ・特殊な塗装(ハイパーシルバーなど)及び塗装がされていない等の特殊なホイール
  • 外国製ホイール、ワイヤーホイール及びコーティング施工ホイール、ホワイトリボン等の加飾タイヤ

ホイールに優しいタイプ

ノーコンパウンド+弱アルカリ性のホイールに優しいクリーナーです。上記、2タイプの強力なクリーナーが使えないホイールにも使用できます。

ホイールに優しいと聞くと、洗浄力も弱いイメージがありますが、カーシャンプーとは比較にならないくらいパワフルで、こすり洗いを加えればブレーキダストもキレイに落ちます。

強い薬液の使用に躊躇する方は、このタイプがオススメです。このタイプの製品としては、名門シュアラスターのホイールクリーナーが売れています。

シュアラスター ホイールクリーナー 表面
シュアラスター ホイールクリーナー 裏面

弱アルカリ性なので、他のクリーナーが使用できないホイールにも使用できます。私の車のホイールも、艶消しブラック塗装なので、このクリーナーを使用しています。

専用スポンジが付属していて、細かな隙間でもキレイにすることができます。ひどい汚れや、長期間放置してしまった汚れの場合、1度では落ちない事もありますが、2回ほど洗浄すれば大体の汚れは落ちます。

使用に注意が必要なホイール

  • 再塗装面や劣化したコート面、メッキホイール等に使用する場合は、目立たない部分で試してから使用。

キレイにしたら、コーティングも大事

せっかくキレイにしたホイールも、そのままではスグに汚くなってしまいます。キレイにしたら汚れが付きにくくすることが重要です。

そこで役に立つのがホイールコーティング剤です。ボディ用のコーティング剤で代用している方もいらっしゃいますが、ホイールはボディよりも明らかに過酷な使用環境におかれます。

地面に近いため、ドロや油の付着はもちろん、高温のブレーキダストにもさらされます。汚れを付きにくくし、ホイール自体を守る能力が必要となるため、専用品での対策をおすすめします。

シュアラスター ホイールコーティング 表面
シュアラスター ホイールコーティング 裏面

シュアラスターのホイールコーティング剤は、アルミ以外にも様々な材質やメッキに使用できます。ホイール洗浄後に水気を乾かし、スプレーして付属のクロスで拭き取るだけです。

これで、耐熱性のある保護皮膜が出来上がり、汚れが付きにくく、落としやすくなります。こまめに洗えば、水洗いでも汚れが落ちるほどです。

パッケージには、「見とれる光沢」と書いてありますが、そこまで艶々になるわけではありません。耐久性は、2か月程度は効果を感じられると思います。輸入車ユーザーには、ありがたい商品です。

輸入車のホイール汚れを根本的に防ぐには?

ホイールを簡単にキレイにする方法があったとしても、汚れないのが一番です。

「キレイにする→汚れる→キレイにする」のループはできるだけ避けたいものです。そこで輸入車のホイールの汚れを、国産車なみに抑える方法があります。

ホイールの汚れの原因は、ブレーキダストなので、ブレーキダストを少なくすればいいわけです。

輸入車向けにも、日本のメーカーから低ブレーキダストのパッドが販売されています。これに交換すれば、汚れも国産車なみにすることができます。

若干ブレーキフィーリングは変わりますが、キーッというブレーキ音や、カックンブレーキの傾向にある車は、停止直前のブレーキコントロールがしやすくなります。

制動力が下がるという方もいますが、日本の道で使う限り問題はないと思います。実際に国産車は同様のパッドで走っているわけですから。

輸入車のパッド交換サイクルは短いので、交換タイミングで、対策品に換えてもいいかもしれません。純正のパッドと比較しても、同程度~やや高いくらいの価格帯です。

ただし、ディーラーによっては、純正品以外の交換を受け付けていない場合があるので相談してみましょう。

まとめ

ホイールが汚れる主な原因は、ブレーキパッドとローターが削れる事で発生するブレーキダストでした。なかでも輸入車は、走行速度の違いから、ブレーキが強化されているため、パッドも削れやすく、ホイールの汚れがひどくなる傾向にあります。

ホイールをキレイに保つには、

  • 洗浄する際は、ホイール専用クリーナーを使って楽にキレイに落とす。
  • 汚れが付きにくくするために、ホイール専用コーティング剤を使用する。
  • 根本的に解決したければ、ブレーキダスト対策パッドに交換する。

というものでした。

車は、ボディをキレイにしていても、足元が汚いと全体的に汚く・古く感じてしまいます。
この記事で紹介した商品は、数ある中でも売れているものばかりです。気に入ったケミカルを見つけて、汚れが固着しないうちに対処しましょう。

MARUCORO編集部

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