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缶スプレー塗料の種類と相性。ラッカーの上には、何が塗れる?

ペンキの種類と相性

スプレー塗料は、種類によって相性があるので注意が必要。

今回の記事で、最大級に言いたい事は、この一文につきます。

車やバイクを塗装する時には、普通、スプレー塗料を使用しますよね。手順としては、下地塗装+クリアーというのが一般的でしょうか?。

凝った人であれば、何層か重ねて塗装もすることと思います。この重ねの部分に塗料同士の相性の差が出てくるのです。

もし、相性を読み間違えて、重ね塗りをしてしまうと、最悪の場合は、デロッと溶けて剥がれてしまったり、縮みが出てしまいます。大事なものを塗装している時に、こんな状態になったら、最悪ですよね。

なので、そんな事態を回避するため、覚えておきたいベーシックな知識を書いていきたいと思います。

塗料の相性は、特に溶剤の強さに注意。

塗装をする上で、特に注意したいのが溶剤の強さです。

ここで言う、溶剤とは、すごく乱暴な言い方をすると、塗料の色素(顔料・樹脂など)を溶け込ませるための液体です。塗料を吹き付ける時には、色素+溶剤が、塗装するものに塗布されます。その後、溶剤が乾燥または、揮発する事で色が塗装物に定着します。

これが、スプレー塗装の原理です。この溶剤には、色々な種類があって、それぞれ、下地に与える影響度の大きさに違いがあります。溶剤の強さを下にまとめてみました。

 

代表的なスプレー塗料【溶剤の強さ順】

溶剤強い:ラッカー塗料

(アクリルラッカー・ビニルラッカー・シリコン変性アクリルラッカー含む)
ホルツ ペイントスプレー・アサヒペン 高耐久ラッカースプレー・ホームセンターPB商品など

溶剤やや強い:ウレタン塗料

イサム塗料 エアーウレタンなど

溶剤弱め:溶剤系アクリル塗料

アサヒペン クリエイティブカラー・ソフト99 ボデーペンなど

ほぼ皆無:水性塗料

アサヒペン 水性多用途スプレー・関ペ 水性シリコンカラースプレーなど

 

ココに注意

  • 溶剤が強くても、耐候性やツヤなど機能が優れているわけではありません。
  • アクリル塗料であっても、メーカーによって、強い溶剤を使用している場合があります。
  • 乾燥したあとも、上記の順番で溶剤に強いわけではありません。

 

ラッカー塗料とアクリル塗料の見分け方

ホームセンターでは、ラッカーもアクリル塗料も水性でさえ、混同して販売されています。缶スプレーを見て、表面にラッカーとデカデカと書いてあるのに、裏面の成分表記を見ると、合成樹脂(アクリル)などと書かれているので、これ、アクリル塗料?ってなると思います。

分類で言うと、これ、れっきとしたラッカーです。アクリルが使用されているラッカーで、アクリルラッカーといいます。ホームセンターのラッカーは、ほとんど、このパターンです。

では、ラッカーとアクリル塗料の決定的な違いはなんでしょう?。

 

シリコン含有ラッカーの成分

シリコン含有ラッカー塗料の成分

溶剤系アクリル塗料の成分

溶剤系アクリル塗料の成分

そのポイントは、成分内に、ニトロセルロースが含まれているかどうかなんです。ニトロセルロースが含まれていたらラッカーです。ニトロセルロースが含まれていないで、合成樹脂(アクリル)という表記が1番目にあれば、アクリル塗料となります。

ちなみに、自動車用補修ペイントのホルツの成分表記は、ニトロセルロース、合成樹脂(アクリル)・顔料・有機溶剤なので、アクリルラッカー系ですね。

ソフト99の成分表記は、合成樹脂(アクリル)、顔料、有機溶剤なので溶剤系のアクリル塗料となると思います。

 

ホルツの塗料成分表示

ホルツの塗料の成分

ソフト99の塗料の成分

ソフト99の塗料の成分

他のサイトでは、両社ともアクリル系なので、同じと書いてあるところも有りましたが、おそらく組成が違います。これ、混同して使用できなそうですね。

一応、手持ちの水性塗料の成分表記も記載しておきます。水性塗料にも、スプレーの場合は、有機溶剤が含まれます。成分の中に水と書いてあったら水性塗料です。

 

一般的な水性塗料の成分

一般的な水性塗料の成分

シリコン含有水性塗料の成分

塗料の種類による相性

溶剤の強さによって相性があることは、冒頭にも書いた通りです。

基本的な考え方として、下地の溶剤強さよりも、強い溶剤強さの塗料を上塗りで使用してはいけません。

強い溶剤の塗料の溶剤成分で、下地の塗膜が、溶けてしまうからです。

溶剤は、色素成分を溶け込ませるためのものとも書きました。つまり、それぞれの色素成分は、それぞれの溶剤に、適正に溶ける性質をもっているということです。

水性であれば、水に溶ける水溶性のアクリルなどが使用されます。ということは、それ以上に強い溶剤であれば、乾燥した塗膜でも、溶解をおこしてしまうことになります。

なので、重ね塗りをするのであれば、同メーカーの同ブランドで統一するのが望ましいです。同じメーカーでもブランドによって溶剤の差異があるからです。

でも、欲しい色がないとか、価格が高いとかで、他の塗料を使用することもあります。そんな時は、できれば同じ種類の塗料を使うのが良いと思います。

もし、それもできないようであれば、下地の塗料よりも弱い溶剤のものを使用することで回避できます。塗装の相性表を下にまとめてみました。

 

【塗料の種類による相性表】

下塗り塗料ラッカー塗料ウレタン塗料アクリル塗料水性塗料
上塗り塗料
ラッカー塗料×××
ウレタン塗料×
アクリル塗料
水性塗料

※完全乾燥後であれば、問題のない場合もあります。
※メーカーによって溶剤の強さは異なります。心配な時はメーカーの相談窓口まで問い合わせてください。

 

塗料の種類と特徴

最後に塗料の種類とそれぞれの特徴を書いておきます。

ラッカー塗料

スプレー塗料の代表格。下地塗装用としては最適で、溶剤が強いので、上塗りに侵されにくい。溶剤の揮発によって定着し、塗膜は硬く耐久性に優れる。ただ、厚塗りはできない・塗膜が痩せるなど耐候性に関しては微妙。ホームセンターで販売されているラッカーのほとんどが、アクリルが含有されている、アクリルラッカーであるが、耐候性を高めるためにシリコンを含有したものもある。

ウレタン塗料

1液性と2液性がある。スプレー塗料であれば2液性がメインとなっている。主剤と硬化剤を混ぜることで化学反応で硬化する。塗膜を厚くすることができ、痩せもほとんど無い。対衝撃・対摩耗・対ガソリン性もあるので車・バイクの塗装には最適。2液性であればアクリル樹脂塗料の上にも塗装が可能。良い塗料だけど、価格が高い。

溶剤系アクリル塗料

これもホームセンターで良く売っている、価格も手ごろな塗料。耐候性・対アルカリ性に優れている。溶剤も少なめのため、ニオイも比較的少なめ。下地を侵す成分が少ないため、商品によっては発泡スチロールにも塗装が可能。ホビー系に最適な塗料。

水性塗料

有機溶剤が、ほとんど入っていない、水と水溶性樹脂が主成分の塗料。下地への影響がなく、ほとんどの塗料の上塗りとして使用ができる。ニオイも少なめで、健康的な問題も少ない。ただ、普通の水溶性アクリルのものは、耐候性があまりよくないが、シリコン含有のものなど種類がある。

他の記事で、塗装のあとにピカピカにコーティングできる、2液性ウレタンクリアの記事も書いてますので良かったらみてください。

 

塗料の種類による相性のまとめ

今回は、塗料の種類による、相性の良しあしに関して書いてみました。自分もよく缶スプレーで、バイクを塗装したりするのですが、この記事に書いたような失敗も、幾度となく経験してきました。

そのたびに、シワのよった塗装を全て水やすりで研いで再塗装といった、後ろ向きな作業を強いられていました。完成に向かって進んでいれば楽しみもあるのですが、ただの失敗のリカバリーなので、何の楽しさもない、非常に嫌なめんどくさい作業になります。

みなさまも、同じような経験をしないように、この記事を参考にしていただければと思います。

また、塗料メーカーは、相談窓口が充実しています。心配なら聞いてみるのも良いと思います。

以上で、今回の記事は終わりです。

 

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