今回の記事では、ミッチャクロンとともに、DIYペイントでは欠かせない、ウレタンクリアを取り上げていきます。
使い方や特徴はもちろん、カーペイントの超有名メーカーである、武蔵ホルトとソフト99の2社のウレタンクリアの比較もしてみます。
実は、この2社で、塗装のタイミングや塗り方など、違う部分もあったりするわけで、知っておいて損はありません。使いやすさ・仕上がりなど、自分の主観も含めてですが、レポートしたいと思います。
ちなみに、ヘッドライトの補修をしようとして、この記事をご覧の方は、ヘッドライト専用のウレタンクリアの使用をおすすめします。塗装用とヘッドライト専用品の違いは、下記の記事をご覧ください。
関連記事:ヘッドライトの黄ばみ補修には、ヘッドライト専用品を使った方が良い理由。
DIYペイントには絶対必要な、ミッチャクロンの記事もありますので確認してみてください。
参考ミッチャクロンの使い方と特長
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2液性ウレタンクリアって何?
2液性ウレタンクリアとは、
2液性とは、言葉の通り2つの液体を混ぜて硬化させるという意味です。今回、取り上げている、ホルツ製品・ソフト99製品ともに、この2液性に該当します。
スプレー缶の中に、主剤と硬化剤が分けて入っていて、これを混ぜる事により化学反応が始まり硬化する塗料です。
対して、1液のラッカーやエナメル塗料は、溶剤を揮発させる事で固まる(エナメルは空気中の酸素との化学反応硬化もおこします。)ので、根本的な組成が違います。
2液性のウレタンクリアは、混ぜた瞬間から化学反応が起き、硬化が始まります。そのため、使い始めてしまったら、一回で使いきらなればなりません。
ラッカーなどは、使いかけで保管しておいても、また使えますから、ウレタンクリアは少々、管理がめんどくさい塗料となります。
また、ラッカースプレーなら、安いものだと500円以下で手に入りますが、ウレタンクリアは圧倒的に高い価格設定になっていて、大体2,500円~2,800円程度かと思います。
2液性ウレタンクリアの特長は、
とにかく、仕上がりの艶が最高です。
ラッカースプレーとは比較にならないほど艶がでます。仕上がりは、テラテラです。最近塗ったカーボンパーツはこんな感じになりました。
それに、塗膜が厚い・強いのが魅力です。
厚く塗っても化学反応での硬化なので表面から固まる事がなく、比較的内側から硬化していきます。
そのため、硬化の過程で内側から引っ張る力が発生します。表面が硬化する前であれば、少しくらいの埃の付着は、針などで除去することで跡が目立たなくなります。
また、耐久性も高く、ラッカーなら、すぐに痩せて艶もひけてしまいますが、ウレタンは塗膜の厚みを保持します。
塗膜が厚いので、コンパウンド磨き前の下地処理で、水研ぎもかけられます。
さらに、ガソリンにも溶けにくいので、バイクのガソリンタンクを塗装するには必須です。
スプレー缶としては、高いし、扱いづらいけど、それを補ってあまりある魅力が2液性ウレタンクリアにはあるのです。
ホルツとソフト99を比較してみる。
2液性のウレタンクリアは、色んなメーカーが販売しています。基本的に、名前の知ってるような塗料メーカーであれば、たいていのメーカーは作っているようです。
例えば、
- アサヒペン:2液ウレタンスプレー(クリア) 実勢売価:2,600円くらい
- サンデーペイント:2液ウレタンスプレー(クリア) 実勢売価:2,700円くらい
- ロックペイント:2液型ウレタンスプレー(クリア) 実勢売価:2,500円くらい
- イサム塗料:エアーウレタン(クリア) 実勢売価:2,900円くらい
- DAYTONA(デイトナ):耐ガソリンペイント(クリア) 実勢売価:2,300円くらい
Daytonaに関しては、塗料メーカーではありません。でも、バイクのパーツといったらDaytonaというほど、名の通った会社さんです。なので、一覧に載せてみました。実勢価格も安いですし。
多分、どこかの塗料メーカーさんからOEM供給を受けているのだと思います。ただ、使ったことがありませんので、塗料性能は不明です。
そんなこんなで、色んなメーカーさんから発売されている2液性のウレタンクリアですが、やっぱり、クルマという用途に限るのであれば、ソフト99か、ホルツブランドが安心かと思います。
ここから、やっと本題の、比較記事に入ります。
基本的なスペック比較
基本的なスペックを比較してみます。パッケージの形態も色味も似通っていますね。
ホルツ ウレタンクリアコートスプレー
- 成分:合成樹脂(アクリルポリオール・ポリイソシアネート)・有機溶剤
- 容量:320ml
- 塗面積:0.9~1.4平方メートル(2~3回塗り)
- 使用可能時間:使用開始から12時間以内
- 塗るタイミング:カラーペイント塗装の72時間後以降
- その他1:ぼかし剤使用不可
- その他2:コンパウンド磨きで光沢アップ
ソフト99 超強靭・超光沢ウレタンクリアー
- 成分:合成樹脂(アクリルポリオール・ポリイソシアネート)・有機溶剤
- 容量:320ml
- 塗面積:0.9~1.4平方メートル(2~3回塗り)
- 使用可能時間:使用開始から12時間以内
- 塗るタイミング:カラーペイント塗装の2~5分後
- その他1:ぼかし剤が使用できる。
- その他2:コンパウンドでの磨き不要。塗終わりのままでOK
ホルツは、カラーペイントを塗り終えてから72時間後以降。つまり完全にカラーペイントが乾燥してからの使用を推奨しています。
これに対して、ソフト99の方は、2~5分後ですよ。この差ってなんですかね?
普通の塗装の感覚からすると、ソフト99の方が異常に感じます。なのでソフト99のホームページを覗いてみると、こんな事が書いてありました。
「ウレタンクリアー」は純アクリル塗膜「ボデーペン」の塗膜表層と分子結合して強く密着し、強靭なウレタン塗膜を形成します。
ソフト99ホームページより
だそうです。理論的には、カラーペイントが乾燥前であれば、ウレタンクリアと結合して、カラーペイントごと、まるっと強くなるから乾く前に塗装したほうがいいよ!ということだと思います。
ウレタンクリアを塗るタイミングに関しては知恵袋とかでも、意見が分かれているようです。ここはメーカーの指示に沿った方が良さそうです。
ただ、自分は、ほとんどの場合、ロゴなどを塗り分ける加工をするので、単色の時のように、スグにウレタンクリアを吹くわけにはいきません。
なので、その結合した強固な塗膜とやらを経験したことがありません。
もとはといえば、キレイに塗り分けたバイクのカウルを、ソフト99のウレタンクリアで塗装したところ、デロっと溶けた?流れた?経験があるので、スグに塗装するなんて事は、怖くてしたく無い派です。
その時は、不安で30分くらいは乾燥させたのですが、それでもダメでした。塗り分けなので、完全乾燥部分と半乾燥部分が混在していたための不具合かとも思います。
ウレタンクリアを使用する手順
ここで、使用する手順を書いておきたいと思います。基本的に2社とも、ほとんど同じ手順です。
ここでの、ポイントは、良く振って撹拌すること。これ大事です。
と、まあ、こんな感じなんです。ラッカー缶とかと比較すると儀式的に面倒くさいですね。
メーカーごとに、缶をひっくり返している時間とか、振らなきゃいけない回数とか違うので、良く確認してください。
あとは、吹き付ける時の距離ですかね。
ホルツは、20~30センチ。ソフト99は、15~25センチが推奨。ソフト99の方が近くから吹けってことでしょうか?まっ、あんまり気にすることでもないですが、一応、違いってことで。
あと、缶スプレーでの塗装の手順をまとめた記事もありますので、そちらも参考にしてください。
【詳細版】缶スプレー塗料でキレイに塗装する方法
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有毒なので、注意点書いておきます。
ウレタンクリア使用上の注意
- 用途以外には使用しないでください。幼児の手の届かないところに保管し、子供がいたずらをしないよう注意してください。
- 有機溶剤が含まれているので、長時間溶剤のにおいをかぐと有害です。塗装中または乾燥中は、換気をよくし、においが無くなるまで換気に注意してください。
- 直射日光のあたる場所や車内での保管は避けてください。塗料を吹き付けるときは、人にかからないよう風向き等に注意してください。
- 捨てる際には中のガスを充分に抜き、他のゴミと区別し捨ててください。
【応急処置】
- 皮膚に付着した場合、多量の石鹸で洗い落し痛みまたは外観に変化があれb医師の診察を受けてください。
- 蒸気、ガスを吸い込み気分が悪くなった場合は、空気の清浄な所で安静にし医師の診察を受けてください。
安全警告
【警告】 吸入飲用不可、車載厳禁、引火性あり、有害性あり、取り扱いを誤ると、中毒や火災、缶の破裂などをおこす恐れがあります。充分注意してください。
【火気と高温に注意】 高圧ガスを使用した可燃性の製品であり、危険なため、下記の注意を守ること。
- 炎や火気の近くで使用しないこと。
- 火気を使用している室内で大量に使用しないこと。
- 高温にすると破裂の危険があるため、直射日光の当たる所や火気の近くなど温度が40度以上となる所に置かないこと。
- 火の中に入れないこと。
- 使い切って捨てること。高圧ガス:DME 火気厳禁/第3石油類、危険等級Ⅲ/合成エナメル塗料
との事です。普通のペイントと比較して、有毒性が高いので、マスク推奨です。あとニオイがきついので、その点も注意です。
以上、ウレタンクリアの比較記事でした。
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