車やバイクをいじる時に、防振・防水・エッジの保護など、色んな場所に使用されるゴム素材。必要になったら、どこで購入しますか?
ネットで!という方もいるかと思いますが、スグに欲しい場合は、ホームセンターに駆け込む事でしょう。ただ、ホームセンターに売っているゴム素材って、すべてが、車やバイクに使えるわけではないのです。
たとえば、屋外で使うと、スグにダメになるものだったり、可塑剤と反応してベトベトになってしまったり、ガソリンに溶けてしまったり。
要は、材質の選び方がポイントとなるのです。同じ黒いゴムに見えても、組成が違えば、性質も違うのです。
- ホームセンターに売っているゴムの種類は?
- ゴムの種類によって何が違うの?性能の差はあるの?
- どれを使えば、長持ちするの?ここにテキストを追加
という内容で、まとめていきたいと思います。
これを読めば、ホームセンターに売っているゴム素材の中で、どれを選んだらいいのかが分かります。
値段だけで決めると、後々、痛い目にあいますよ。
あと、ゴムの劣化原因について、詳しく書いた記事もあるのでご覧ください。
ホームセンターに売っているゴムの種類を調査
とりあえず、ホームセンターで、どんな種類のゴムが売っているのか調べてみます。
あまり大きすぎるホームセンターだと、種類が多すぎるので、中規模店舗で調査してみました。
調査した売り場は、ゴム素材のコーナー。こんな感じの陳列です。
ゴム素材でゴンドラ2本 フチゴムなどの切り売りでゴンドラ2本。中型店としては、平均的で丁度いい感じです。
では、売り場にどんな種類のゴムがあるのか順番に見ていきます。
簡単に特徴と用途も書いておきます。最後に比較表もあるので参考にしてみて下さい。
NRゴム(天然ゴム)
天然ゴムは、亜熱帯地域のゴムの樹の樹液を採取して製造される、もっとも基本的なゴムです。ゴム板の場合は、天然ゴムに加え、SBRゴムを混ぜ合わせて作られているので、純粋な天然ではありません。
強度・伸縮性には優れていますが、耐熱性・耐油性・耐候性・耐オゾン性には劣ります。日光下では、早く劣化してしまい、長い年数使用するには向きません。
天然ゴムと合成ゴム
天然ゴム→パラゴムノキという、木の幹に傷をつけて、樹液(乳液)を採集して固めたものです。
合成ゴム→石油を原料とするナフサから作られた化学工業製品です。
CRゴム(クロロプレンゴム)
CRゴムは、古い歴史をもつ合成ゴムです。
耐熱性・耐老化性・耐候性・耐摩耗性に非常に優れ、耐オゾン性・耐炎性・耐油性、耐化学薬品性にも、一定以上の性能をもつトータルバランスに優れたゴムです。流通量が多く、価格は安めです。
自動車部品にも、使用されているので信頼性はあります。ただ、長期間同じ場所に設置する場合、色移行が起こり、取り付け部分が汚れる事があります。
ゴムの移行・汚染とは
ゴム製品中に含まれる、配合剤が表面にでてきて、接触している相手材を汚してしまうことがあります。特に、耐オゾン性・耐熱性を向上させたゴムは、相手材によって、着色・変色させることがあります。
主に架橋剤・加硫促進剤・老化防止剤が原因のことが多いですが、ほかの配合剤に起因することもあります。
ブチルゴム
ブチルゴムは、耐老化性・耐候性・耐オゾン性に非常に優れた合成ゴムです。耐薬品性にも優れるものの、油には弱いので、ガソリン・軽油が付着するような部分には、使えません。
車では、耐候性の高さを生かして、窓のフチゴムなどに。また、気体を通しにくい性質もあるため、タイヤのインナーチューブにも使用されています。
油のかからない部分であれば、紫外線下でも、長く使用することができます。
SBRゴム( スチレンブタジェン)
SBRゴムは、耐水性・耐摩耗性に非常に優れたゴムです。 ただし、耐老化性・耐候性・耐オゾン性は、あまり良くない上に、耐油性もありません。
車では、耐摩耗性を生かして、タイヤなどに使用されます。
シリコンゴム
シリコンゴムの最大の特徴は耐熱性です。シリコンスチーマーなどの調理器具になるくらい、良好です。また、 耐老化性・耐候性・耐オゾン性 にも優れていますが、耐油性・耐薬品には弱い傾向にあります。
傷がつくと、そこからの引き裂きには弱く、摩耗に対しても強くありません。
自動車関連だと、耐熱ホースやOリング、エンジンマウントの防振材などに使用されています。
非汚染性ゴム
パッケージに詳しく書いてなかったのですが、おそらくこれは、非汚染性CRゴムだと思います。
基本的な性能は、CRゴムと同様ですが、使用上問題となる、油分や架橋剤成分による移行が起きにくい素材となっています。普通のCRゴムよりも少しだけ高いですが、長く使用するなら、こちらをオススメします。
EPDMゴム(エチレンプロピレンジエンゴム)
EPDMは、 電線の被覆に使用されるほど、耐老化性・耐候性・耐オゾン性に優れた合成ゴムです。
ただ、一定の耐薬品性はありますが、耐油性能は低いので、油が付着する環境では使用できません。
車では、窓枠のフチゴムや、ボンネットクッション・ホースなどに使用されています。
PUゴム(ポリウレタンゴム)
PUゴムは、引き裂き強さや耐摩耗性など、強度に優れるゴムです。耐薬品性は、劣りますが、耐ガソリン・軽油には耐性があります。
ただ、耐水性・耐湿性・耐熱性は低く、蒸気や熱、酸などで加水分解を起こし、ベトベトになったり、亀裂が入ったり、黄変したりするので、長期の、特に屋外での使用には向きません。
PORON®
PORONは、特殊なゴムで、株式会社イノアックコーポレーションの登録商標となっています。
衝撃吸収性に優れ、クッション材、滑り止めに使用されます。耐候性などは、データが見つかりませんでした。
NBRゴム(番外編)
NBRゴムを番外編としたのは、ゴム素材売り場ではなく、ネジ売り場に売っているからです。
写真にあるゴムワッシャーは、バイクのカウルの保護などに、使用されている方が多いですが、スグにダメになります。
耐候性が著しく低いため、屋外の日光下での使用には向きません。自分もバイクのネジ部の傷防止のために使用したことがありましたが、夏だと1か月程度でヒビが入りダメになります。
NBRゴムの最大の特徴は、耐油性が高いことです。なので、使用用途としては、オイルホースやパッキン類です。
ゴムの種類まとめ
中規模のホームセンターで売っているゴム素材は、こんな感じでした。もっと巨大な店舗であれば、もっと種類も有るでしょうし、納入している業者が違えば、陳列パターンも異なると思います。
ただ、今回調査した店舗以外も、見てみましたが、素材のラインナップとしては同様の感じでした。あとは、厚さが違うくらいです。
ゴム素材は、難しいもので、劣化の具合や、使用できる環境が異なります。
みんカラの記事などを見ていると、短期でダメになっていまうゴムを使っている方も結構いるので、記事にしてみました。
最後に、それぞれのゴムの適正をリストでまとめておきます。
耐摩耗性 | 耐熱性 | 耐候性 | 耐オゾン性 | 耐ガソリン・軽油 | 耐アルコール | |
---|---|---|---|---|---|---|
NRゴム | ◎ | 120℃ | ○ | × | × | ◎ |
CRゴム | ○ | 130℃ | ◎ | ○ | ○ | ◎ |
SBRゴム | ◎ | 120℃ | ○ | × | × | ◎ |
ブチル | ○ | 150℃ | ◎ | ◎ | × | ◎ |
シリコン | △ | 280℃ | ◎ | ◎ | △ | ◎ |
PUゴム | ◎ | 70℃ | ○ | ○ | ◎ | △ |
EPDM | ○ | 150℃ | ◎ | ◎ | × | ◎ |
NBRゴム | ◎ | 130℃ | ○ | × | ◎ | ◎ |
ゴム素材を選ぶ上で、少しでも役に立てば良いなと思います。
以上、ホームセンターに売っているゴムの種類と適正という記事でした。
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