ゴムが劣化する原因_アイキャッチ

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ゴムの劣化の原因。欧州車のゴムの劣化が早いのはナゼ?

 

ーゴムの劣化は、なぜ起こるのか?ー

ヨーロッパ車のゴム・樹脂部品が劣化しやすいのは、周知の事実かと思います。

筆者も、ヨーロッパ系の車を何台も乗り継いできたので、身をもって経験し、泣かされてきました。

つい先日も、現在の愛車である、アルファロメオジュリアの窓枠モール部分の劣化を発見してしまい、あ~あ、またかという心境です。

窓枠のモールが劣化した画像

この部分のゴムが黒く溶けだしました。

ワイパーアームナットの劣化した樹脂部品

樹脂パーツの劣化も発見してしまった。

車齢で言うと、まだ3年とちょっとです。ついでにワイパーアームのナットカバーの割れまで発見しちゃいましたが、まあ、こんな事は日常茶飯事なので気にしない気にしない。気にしない…。

でもね、やっぱり疑問なんです。日本車も欧州車も素材は同じゴムですよ。なのに、なんでヨーロッパ車のゴムって、昔から変わらずに劣化しやすいのでしょうか?ゴムの劣化する原因を含めて、検証して、まとめていきたいと思います。

 

車に使われているゴムって、どんなゴム?

ゴムといっても、様々な種類が存在します。その中でも、自動車に使用される、ゴムって、どんなゴムなのでしょうか?

そこで、自動車に使用されている、ゴムの種類を調べてみました。ゴムの種類が分からなければ劣化の原因も分かりませんから。

ゴムは種類に応じて、性質が異なります。それぞれのゴムで性質が異なるので、適材適所で選定されているようです。

タイヤ
⇒天然ゴム(NR)または、 スチレンブタジエンゴム(SBR)
天然ゴム 58%
合成ゴム 42%

 

パッキン・シール材・オイルホース
⇒アクリロニトリルゴム(NBR)

 

窓枠などのゴムモール
⇒ブチルゴム(IIR)または、エチレンプロピレンゴム(EPDM)

タイヤの天然ゴム使用率が58%もあるのは意外でした。数値敵には、2016年のものを引用させてもらいましたが、今後も天然ゴムの使用率が増えるとの記述もありました。

ータイヤのゴムについて詳しく書いた記事もあります。ー

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タイヤ以外のゴムは、大体、石油系の合成ゴムを使用しているようです。エンジン内部であれば、ガソリンやオイル、熱の影響を受けますし、外部であれば紫外線などの影響が強いので、耐候性の高いものが選ばれます。

どのような基準で、選定されるかは、自動車メーカーによっても違うようですが、それぞれのゴムの特性も挙げておきます。

 

種類別ゴムの特性

自動車に使われている、主なゴムの性質は以下の通りです。

 天然ゴム
(NR)
スチレンブタジエンゴム
(SBR)
アクリロニトリルゴム
(NBR)
ブチルゴム
(IIR)

エチレンプロピレンゴム
(EPDM)

耐候性
耐オゾン性×××
耐老化性
耐溶剤性
ガソリン
軽油
××××
ベンゼン
トルエン
×××・△△・○
アルコール
酢酸エチル×・△×・△×・△
耐酸性・耐アルカリ性
有機酸×××・△△・○×
高濃度
無機酸
低濃度
無機酸
高濃度
アルカリ
低濃度
アルカリ

ゴムが劣化する主な原因

自動車用に限らず、ゴム製品は全般的に、劣化の早い材質であると言えます。

ゴム製品の代表格である、輪ゴムを経過観察していれば分かると思いますが、時にはベタベタに溶けてしまったり、ボロボロに崩れてしまったり。耐久性が良くないのは一目瞭然です。

輪ゴムの材質は、基本的に天然ゴムなので、自動車に多く使われる合成ゴムとは、ひとくくりにはできませんが、ゴムはゴムなわけです。耐候性や耐油性を向上させたものなど、機能性を付加したものも含め、基本的には外的要因で劣化が進みます。

ゴムの劣化を早める原因は色々とありますが、主なものは以下の通りとなります。

 

オゾン

酸素はO₂ですが、酸素元素が3個くっついたのが、O₃のオゾンです。自然界にも存在しますが、人工的に生成されて、殺菌などでも使用されています。

このオゾンが、ゴムの酸化劣化を促進させます。オゾンによる劣化の場合、応力に対して垂直方向に無数の亀裂が入ります。特に天然ゴムに対し悪影響を及ぼします。

耐オゾン性の高いEPDM以外は、オゾンに対する老化防止剤を添加したりして対処します。

 

油分(溶剤・ガソリンなど)

ゴムの中にも、耐油性、耐溶剤性を向上させたものがありますが、基本的には、ガソリンや溶剤には弱いものと思っていて正解かと思います。上の表の中で耐性があるのは、ニトリルゴムだけです。

ほかの、耐性のないゴムであれば、油分により溶解や膨張が発生します。

 

熱(高温・低温)

ゴムは、高温下では、柔らかくなり、低温下では硬くなる性質を持っているのは、わざわざ書くまでもなく、経験上、理解できると思います。

高温や低温が繰り返されると、ゴムに対してかなりのストレスとなります。その結果、表面が硬化してしまい、ひびが入ってしまったり、ベトベトに粘化してしまったり化学変化による劣化が起きます。

 

紫外線・放射線

日光などに含まれる紫外線や放射線もゴムを劣化させる要因となります。塗装や樹脂も、日光の下では、劣化が進むのは経験しているかと思いますので、ゴムも同様と思ってください。

カーボンブラック(炭素系の黒い粉末)を混ぜる事で、紫外線が透過しにくくなり、耐候性が向上します。カーボンブラックの含まれない、飴色や淡色のものは影響を受けやすくなります。

これを光酸化劣化といい、応力(ひずみ)が掛かっている方向に対し、細かな不規則な無数の亀裂が発生します。

 

水分

パッキンなど、水を遮断するために、使用されるゴムですが、耐水性の低いゴムも存在します。吸湿してしまうと、膨潤を起こす事があります。また内部にしみ込んだ水分が、気温により凍結膨張することで、劣化を促進する場合もあります。

 

自動車のゴム部品に影響の大きい要因

ゴム全般には、色々な劣化原因が考えられますが、自動車に使用されているゴムに限った場合は、どうでしょうか?

たとえば、車外に使用される、タイヤ、窓枠のモールは、日光下におかれます。ですので、紫外線の影響が大きいものと思われます。

エンジンルームにある、パッキンやベルト、車体下のマフラーの吊りゴムなどは、油分と熱の影響を多大に受けます。

これらの影響を考慮して、適正なゴムが選定されていますが、それでも、ゴムの劣化は進みます。ゴム自体は、消耗品と考えて、定期的な点検交換が必要なものだという認識が必要です。

ただ、少しでもキレイに延命させたい場合は、下のようなものが有効です。

 

自動車のゴム劣化の特殊要因

ここまで、ゴムが劣化する要因を調べてきましたが、冒頭で書いた、アルファロメオジュリアの窓枠のモールの劣化が、代表的なゴムの劣化現象にあてはまりませんでした。

普通のゴムは、紫外線などで劣化すると、ひび割れが発生してきます。なのに、ジュリアのゴムの症状は、黒く溶けたような状態になるというものだったのです。

カーボンブラックが溶けだしたゴム

窓枠に使用されるゴムは、大体の場合、EPDMです。これは耐候性を重視したものですが、EPDMは、硬化してひびに発展するという事はあまりないようなので、劣化の症状がひびではない事は理解できました。

であれば、黒く溶ける現象は、どういったものなのでしょうか?

 

ーEPDMの意外な劣化原因ー

工業技術センターに聞いてみたり、ネットで調べた結果、多分これであろうという原因が特定できました。

それは、意外な事ですが、水が原因のようです。水といえば、ゴムが劣化する原因として挙げましたが、単純に水分ではなく、水道水に含まれる、塩素が原因とのことなのです。

おそらく、洗車などで使用した水道水の塩素が、ゴムに悪影響を及ぼしているのではないかというものです。

特に暑い日には、水が温まる事で影響も大きくなるようです。また、このところ、日本でも河川の水質悪化で塩素濃度があがっているとの事で、これも影響しているものと思います。

EPDMが、塩素と触れる事で、軟化が起き、カーボンブラックが溶出してしまう事があるようです。

アルファロメオジュリアに起こった現象は、まさにこれだと思います。今後は、純水で洗車をすることも考えましたが、あまり現実的ではないので、窓枠に残った水分は、すぐに拭き取ることで対処していこうと思います。

また、窓枠に後付けできるゴムのフレームもあるようなので、これを入手して試してみたいと思います。

 

欧州車のゴムが劣化しやすい原因

自動車に使用されるゴムの種類と、劣化の原因を、色々と調べてきましたが、最後に、ヨーロッパ車のゴムはナゼ劣化しやすいのか?という考察をしたいと思います。

ヨーロッパで、ゴムを製造している代表的なメーカーは、

ドイツのランクセス社とイタリアのポリメリヨーロッパ社の2社が有名なようです。2社ともに、技術も品質も問題のない大手なので、劣化しやすいのが、技術的なものだとは考えにくいです。

であれば、外的要因が問題です。

ヨーロッパと、日本では、気候が大きく異なります。ヨーロッパにも四季はありますが、日本のように、はっきりとしたものではありません。それに加え、日本の夏は、高温多湿です。

高温も多湿もゴムには、良くありません。この気候の違いも大きな要因かと思います。

また、ヨーロッパでは、壊れるものは交換すれば良いという気質も、日本とは異なるところです。ゴムの寿命なんか、気にしないで、劣化したら交換すれば良いという考えなのかもしれません。

なので、もともとのゴム自体、ヨーロッパの気候や気質に合わせた配合であると考えられます。

ヨーロッパ諸国の自動車メーカーにしてみれば、日本の市場なんか小さなものです。エンジンなどの大がかりな部分では、日本仕様を作ってくれていても、ゴムまでは手が回らないのが実情かと思います。

そんなこんなで、ヨーロッパからやってくるゴムは、日本においては、耐久性が劣るのだという結論にいたるのです。

最終結論としては、ヨーロッパと日本は、風習も気候も異なるので、ゴムの劣化は仕方ない!

という事になります。

ヨーロッパ車に乗るなら、そんな事を気にしちゃダメ。ということで、ゴムの劣化に関する記事でした。

 

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