車・バイクのパーツを固定しているネジ。
サビて固着してしまっているのを、良く見かけます。
特に、マフラーやエンジン回りが、ひどくなりがちです。ネジのメッキは、熱の影響を受けると、耐食性が落ちるからです。
車なら、見えない部分かもしれませんが、バイクだと、かなり目立ちます。
ネジが錆びてしまうと、パーツにまでサビが広がったり、サビダレが発生したり広がっていきます。
さらに進行すれば、サビによる固着で、外す事もできなくなってくるでしょう。
では、
ネジのメッキの、耐熱温度は、何℃なのでしょうか?
今回は、メッキとステンレスのネジの耐熱温度に関して書いていきたいと思います。
車関係で使用されるネジの材質と表面処理はこんな感じ。
最近では、自動車を製造するにも、環境への配慮が求められています。様々な環境規制があるため、全ての製造工程において指定の有害物質が使用されていない事や規制値を超えていない事を担保しなければなりません。
ステンレスであれば、基本的に問題ありませんが、メッキであれば、六価クロムが、指定物質にあたります。
現在では、六価クロムフリーやクロムさえ使用していないメッキがほとんどです。
それを考慮に入れて考えると、自動車に使用されるネジは下記のような分類になるかと思います。
では、1個ずつ見ていきます。
電気亜鉛メッキ系
ホームセンターのネジなどでも一番良く見る、コスト安のメッキです。青みがかった銀色のメッキが、三価クロメートメッキ(ホームセンターのものは環境対応でないものもあります。)です。
黒色のものもありますが、下地が亜鉛メッキで、その上にクロメート層という構成は同じなので、今回は同分類として扱います。
コーティング系
電気亜鉛メッキは、『電気の力を利用して、亜鉛などの皮膜をネジにまとわせる』のに対して、コーティング系は、『薬剤をネジに塗布して焼いたもの』で、どちらかといえば塗装に近い表面処理です。
薬剤のメーカーによって呼称・性能は変わってきますが、原理は一緒です。電気亜鉛メッキよりも膜厚が厚く、耐食性能が高いのが売りです。
代表的なものとして、ディスゴ・ラフレ・ジオメット・FAコートなどがあげられます。
あまり細かく区切っても分かりにくいので、コーティング系としてくくります。
電気亜鉛メッキ系のネジから置き換える場合は、強度や膜厚に注意が必要です。膜厚が厚い場合、めねじ部分(ナット)に、はまらないものもあります。
ステンレス
ステンレスのネジは、メーカー純正で使用される事は、ほとんどありませんがアフターパーツ等に使用される事があるので参考に入れておきます。
また、ステンレスという材質自体、結構な種類がありますが、今回は代表的なSUS304と仮定します。
ステンレスに関しては、熱以外にもサビを誘発する注意があります。
異種金属に接していると、電位差によりサビが発生します。鉄部にステンスレスネジを使用すると鉄がサビやすくなりますので注意が必要です。
参考:バイクのマフラーの温度は何度?
ここまで、耐熱温度に関して書いてきましたが、例えば、バイクのマフラーは、どの程度の温度になるのでしょうか?
車種や環境によっても温度は変わるので、参考程度ですが、下のような温度域になります。
特にエンジンとつながっているエキパイ部は高温になります。これを見る限り、フランジ固定用のネジは錆びて当然とも言えます。
ステンレスに交換すればネジ自体はサビにくくなりますが、強度や鉄と接している場合、電位差による電蝕が起こることも考えられます。安易な置き換えは危険です。
まとめ
今回は、メッキやステンレス製のネジの耐熱温度をまとめました。耐熱温度を考えると、高熱部分で、錆びてしまうのは仕方ないようです。
鉄製のメッキネジをステンレスに換えれば、錆びにくくはなりますが、強度低下や電蝕の問題もあるので、安易な置き換えは危険です。
対処としては、錆びて当然と考え、定期的なメンテナンスと交換を行うのが一番です。
また、コーティング系のメッキでも、耐熱性能を向上させたものが出回ってきています。入手手段は限られますが、交換するのも一つの方法です。
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